

この記事の著者
こばやし歯科クリニック|歯学博士 小林孝誌
東京歯科大学大学院卒業し博士号を取得。インプラント専門医を持ち、地元の日立市で地域に貢献できるように研鑽を積む。口腔ケアやホワイトニングが好きで実体験を皆様にお届け。
この記事のまとめ
- インプラントの治療方法はいろいろある
- インプラントの本数を減らして費用は減らせる!
- 入れ歯でお困りなら、インプラントデンチャー
目次
インプラントの治療方法や種類
インプラント治療は、失った歯の本数によって治療方針が変わります。1本の歯が失われた場合、1本のインプラントを埋入して人工歯を装着し、機能を回復できます。3本以上の複数の場合では、失った部位に合わせて必要な本数のインプラントを配置し、インプラント同士を繋げるブリッジ形式で補うケースが一般的です。全顎的な多数の歯がない場合は、複数本のインプラントを戦略的に埋入してフルブリッジや入れ歯を支える形にすることが多く、噛み合わせや審美性など多角的な視点で治療計画を立案する必要があります。これにより、それぞれの欠損状況に応じた最適な噛み合わせと安定性を得ることができ、患者さんの生活の質向上につながります。
1本の歯が失った場合(インプラント前歯・奥歯)
単独歯のインプラント治療は、1本の歯を失った場合に、自然な見た目と噛む力を回復する治療方法です。メリットとしては、周りの健康な歯を削らずに済むため、全体の歯並びが保たれ、長期的に他の歯を守ることができます。また、固定力が高く、安定して使用できる点も魅力です。治療費用の相場感は、通常35~60万円程度ですが、個々の状態により変動します。手術は局所麻酔下で行われ、手術時間も短く(20分程度)、負担はほとんどありません。この治療は、失った歯を補うだけでなく、全体の歯のバランスを整える効果も期待でき、患者さんの笑顔を取り戻す大きな一歩となります。




症例の概要
主訴:虫歯で歯を失った
場所:左下の奥歯
治療内容:セラミックスの上物によるインプラント治療1本
費用:38,5万円(税込)
治療後のリスク:定期的な検診を行わないと、インプラント周囲炎になる可能性があります。




症例の概要
主訴:前歯をぶつけて歯が折れた
場所:左上の前歯
治療内容:セラミックスの上物によるインプラント治療1本
費用:38,5万円(税込)
治療後のリスク:定期的な検診を行わないと、インプラント周囲炎になる可能性があります。
歯が3本以上失った場合(インプラントブリッジ)
3本以上の歯が欠損している場合、インプラントブリッジ治療は、失った歯の部分に複数の人工の土台を埋め込み、その上に1本の橋のように歯をを取り付ける方法です。インプラントの土台の本数を減らして、費用を抑えることもでき、見た目も自然で噛む力もしっかり回復できます。治療費用は症例により異なりますが、概ね総額で80~150万円程度となるケースが多いです。手術は局所麻酔下で行われ、負担はそれほど多くありません。最近の治療の流れでは、必要最低限のインプラント本数で噛み合わせを回復させます。




症例の概要
主訴:ブリッジしてた歯が折れた
場所:左下の奥歯3本
治療内容:セラミックスの上物によるインプラント治療2本
費用:93,5万円(税込)
インプラント2本+ダミーの歯
治療後のリスク:定期的な検診を行わないと、インプラント周囲炎になる可能性があります。
多数の歯が失われている場合(インプラントフルアーチ)
歯がほとんどないような場合、多数のインプラントを土台にして、全体を支える歯(入れ歯やブリッジ)を固定する治療法が用いられます。これにより、自然な見た目としっかりとした噛む力が回復し、顔のバランスも整えられます。しかし、治療計画は慎重に立てる必要があり、治療費用は数百万円に達するケースも多いです。手術は局所麻酔下で行われます。十分な検査と定期的なフォローアップで安全性が保たれます




症例の概要
主訴:前歯のブリッジが取れた
場所:上の前歯
治療内容:セラミックスの上物によるインプラント治療4本
費用:220万円(税込)
インプラント4本+ダミーの歯4本
治療後のリスク:定期的な検診を行わないと、インプラント周囲炎になる可能性があります。
インプラントが向いている人のポイント
1,奥歯の歯が失われている人
奥歯がないと、噛むときに残っている歯に過剰な負担がかかり、特に隣の歯に集中する力でひび割れや欠けが生じやすくなります。また、奥歯が補えない場合、前歯に無理な力がかかり、上の歯が前に押されることで出っ歯のような不均衡な噛み合わせが生じる恐れがあります。こうした状況は、見た目の問題だけでなく、食事や会話に支障をきたし、口腔全体の健康を損なう原因となります。そこでインプラント治療は、失った奥歯の代わりにしっかりとした支えを提供し、噛む力を均等に分散させる効果があります。結果として、他の歯への負担が軽減され、長期にわたって安定した噛み合わせが維持されるため、健康で快適な生活が実現できます。さらに、インプラントは自然な歯に近い感覚を再現できるため、初めての治療でも安心して受けられます。適切なメンテナンスにより、長年にわたり機能と美しさを保つことが可能です。治療前には十分な検査を行い、個々の口腔状態に合わせた最適なプランを立てることで、後悔のない治療を目指します。

2,自分の歯を削りたくない人
ブリッジや入れ歯は、噛み合わせを回復させるために、健康な隣の歯を削って支えにする治療法です。そのため、自分の大切な歯を犠牲にすることになり、将来的にトラブルが起こる可能性もあります。一方、インプラント治療は、失った部分に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を固定する方法です。これにより、周囲の歯を一切削る必要がなく、自然な歯の美しさや強さをそのまま保ちながら、しっかりと噛む力を回復させることができます。また、この方法は自然な歯の機能を維持し、将来の歯科トラブルのリスクを低減する効果も期待できるため、長い目で見ても大変有益です。さらに、治療後のケアも比較的シンプルで、普段の歯磨きや定期検診を通じて健康な状態を保ちやすいというメリットがあります。自分の歯を守りたいと考える方にとって、インプラント治療は安心して選べる最適な方法と言えるでしょう。

3,入れ歯が上手く使えない人、入れ歯が緩い人
多数の歯を失い入れ歯を使わざるを得ない方は、入れ歯がずれたり外れたりしてしまい、食事や会話の際に大きな不便を感じることが多いです。従来の入れ歯は、固定力が弱いため、噛むときに口内でずれることで、周囲の歯に過剰な負担がかかるリスクもあります。そこで注目されるのがインプラント治療です。特にインプラントオーバーデンチャーは、インプラントに入れ歯をしっかり連結させることで、固定力を高め、安定した噛み合わせを実現します。これにより、従来の入れ歯がもたらす不快感やトラブルから解放され、少ない費用でしっかりと噛む力を回復できるため、生活の質が大きく向上します。
