この記事の公開日: 2025年1月16日


この記事の著者
こばやし歯科クリニック|歯学博士 小林孝誌
東京歯科大学大学院卒業し博士号を取得。インプラント専門医を持ち、地元の日立市で地域に貢献できるように研鑽を積む。口腔ケアやホワイトニングが好きで実体験を皆様にお届け。
この記事のまとめ
- 口臭の原因はお口由来が90%
- セルフチェックで口臭を確認!
- 口臭がなかなか改善しない場合は歯周病の可能性も
目次
口臭の原因・分類
口臭は、口腔内に存在する細菌がタンパク質を分解し、揮発性硫黄化合物(VSC)などの悪臭ガスを発生させることで生じます。口臭の9割以上の原因が、舌表面に付着した舌苔(ぜったい)、歯周病やむし歯による歯垢・歯石の温床、唾液分泌が減少する口腔乾燥(ドライマウス)があります。また、一部ではありますが、食生活の偏りや喫煙習慣、胃腸疾患、全身疾患といった要因も影響し、一過性に終わる一時的口臭と、長期化しやすい慢性口臭に分けられます。自覚しづらいため、対人関係やコミュニケーションに不安を招くケースもあります。効果的な対策には、正しい歯磨き、舌クリーニング、唾液分泌促進、生活習慣の改善とあわせて、定期的な歯科医院でのプロフェッショナルケアが欠かせません。本記事では口臭を三つのタイプに分類し、それぞれ説明していきます。
真性口臭症
真性口臭症は、客観的に口臭の存在が認められる状態で、生理的口臭か病的口臭で分けられます。
生理的口臭は器質的疾患がなく、唾液分泌の低下で起床時や緊張時に一時的に発生するもので、ニンニクなどの外因性一過性口臭は含みません。
病的口臭はさらに口腔由来と全身由来に分かれ、歯周病・むし歯・舌苔の蓄積等の局所病変や、胃腸疾患・糖尿病などの全身疾患が揮発性硫化物を生成して持続的な口臭を引き起こします。
仮性口臭症
仮性口臭症は、患者が自覚する口臭訴えがあるものの、社会的許容限度を超える客観的口臭が検査で認められない状態です。多くは心理的要因や誤認識によるもので、検査結果の丁寧な説明やカウンセリングで不安を軽減し、症状が改善しやすいのが特徴です。
口臭恐怖症
口臭恐怖症は、真性・仮性口臭症に対する適切な治療や説明を行っても患者の不安訴えが持続し、口臭への過度な恐怖心が心因的・精神的問題へ発展している状態です。改善方法は、認知行動療法や抗不安薬・抗うつ薬の併用など、歯科医師と精神科医が連携し、口臭そのものだけでなく患者の認識・感情の変容を目指す包括的アプローチが求められます。
口臭のセルフチェック方法
1,ビニール袋に息を貯めて、臭いを嗅ぐ方法

ビニール袋を用意し、口元にあてて息をゆっくり吹き込みます。袋の口をしっかり閉じて30秒ほど置き、中の空気を鼻で吸って臭いを嗅いでください。強い嫌な臭いを感じたら口臭の可能性があります。自分だけだと臭いに慣れている可能せもあり、パートナーに嗅いでもらうと確実に判断できます。朝起床直後や食後など、異なるタイミングで試すとより参考になります。
2,フロスや歯間ブラシの使用後の匂いを嗅ぐ方法

フロスまたは歯間ブラシを歯と歯の間に通し、ゆっくり汚れをかき出します。使用後、ブラシ部分を口を閉じた状態で鼻先に近づけ、軽く匂いを吸い込んで確認。嫌な臭いが強い場合は歯間部の細菌が原因です。食後や就寝前などタイミングを変えてチェックすると原因特定に役立ちます。歯磨き後に行うとブラシの残留臭と比較でき、より正確です。
3,口臭チェッカーを使用する方法

口臭チェッカーを利用すると、自分の口臭レベルを数値化・可視化でき、客観的にセルフチェックが可能になります。朝起床時や食後など複数のタイミングで測定し、歯磨きや舌クリーニングの効果を定量的に比較できます。ただし、揮発性硫黄化合物に反応するので、歯周病の臭いやタバコの匂いは判定できません。また、臭いの強さを評価するため、臭いの種類が分からないの残念なポイントです。
口臭ケアの方法
1,歯医者での口臭ケア

歯医者では、専用の歯面洗浄器具で歯の汚れをしっかり落とします。歯周病が原因の口臭にはスケーリングとクロルヘキシジン・過酸化水素による洗浄処置でケア。唾液分泌が減っている方には保湿ジェルを使い、定期メンテナンスで再発を防ぎます。詰め物や被せ物が劣化したり、不適合だと汚れがたまるり臭いの原因になるので、必要に応じて補綴物の作り直しもご提案します。部分的な臭いの場合は、この可能性が非常に高いです。
2,自宅での口臭ケア
