この記事の公開日: 2025年1月16日
この記事の著者
こばやし歯科クリニック|歯学博士 小林孝誌
東京歯科大学大学院卒業し博士号を取得。インプラント専門医を持ち、地元の日立市で地域に貢献できるように研鑽を積む。口腔ケアやホワイトニングが好きで実体験を皆様にお届け。
この記事のまとめ
- 目的に応じて歯磨き粉を選ぶ!
- 高ければ良い歯磨き粉は間違い!
- なるべくならフッ素配合のものを選ぼう!
目次
歯磨き粉の種類
歯磨き粉には、「薬機法」により医薬品・医薬部外品・化粧品の三種類があります。医薬品は虫歯や歯周病などを治療、または予防できるほど有効成分が厳格に含まれ、購入時や使用時に制限がかかる場合もあります。医薬部外品は、特定の有効成分によって虫歯予防や歯茎ケアが期待でき、市販されている多くの歯磨き粉がこれに該当します。化粧品は主に口内を清潔にしたり香りを良くしたりする目的で、効果は限定的ですが手軽に使うことができます。虫歯予防を重視するなら医薬部外品、しっかり治療したい場合は医薬品、気軽に口の清潔感を保ちたいなら化粧品と、目的に合わせて賢く使い分けましょう。主に虫歯の予防に効果的とされているフッ素配合は、医薬部外品に該当しており、化粧品には配合されていませんので、購入する際は注意が必要です。
医薬品
「アセス」「デントヘルスR」「メディカルぺーストEX」は医薬品の歯磨き粉です。主に歯周病に効果がある成分が配合されており、通常の歯磨き粉と比較すると値段も高くなっています。薬品の成分としては、止血や抗炎症作用があるものを使用しており、歯周病による症状を抑える目的があります。
医薬部外品
日本で販売されているほとんどの歯磨き粉が分類されます。虫歯や歯周病予防・知覚過敏・ホワイトニングに至るまでさまざまな効果を期待できます。虫歯予防では「フッ化ナトリウム」、歯周病予防では「IPMP」、知覚過敏では「硝酸カリウム」、ホワイトニングでは、「ポリリン酸ナトリウム」が効果的です。
化粧品
「MARVIS」「ディンティス」などは化粧品による歯磨き粉です。主に清涼感やフレーバーに重きをおいたものが多いです。SNSで話題になるものが多く、お洒落なデザインが多いため、気分を上げたい時におすすめです。ただし、虫歯予防に効果があるとされるフッ素が入っていないため、虫歯には注意が必要です。
歯医者による歯磨き粉のおすすめポイント
1,フッ素配合しているか
市販されている歯磨き粉の約90%以上にはフッ素が配合されていますが、一部の化粧品として分類される歯磨き粉にはフッ素が含まれていない場合があります。そのため、購入時には成分表示を確認することが大切です。
フッ素は、歯を磨く際に使用することで、再石灰化(歯の修復を促すプロセス)を助け、虫歯菌によって溶かされた歯質を回復させる働きがあります。特に、フッ素の濃度が高いほど効果的と言われています。ただし、日本国内で購入できる歯磨き粉のフッ素濃度の上限は1450ppmとなっています。一方で、海外では5000ppmの高濃度フッ素歯磨き粉も販売されていますが、これらを使用する際は、専門家に相談することをお勧めします。
2,目的にあったものを選ぶ
歯磨き粉にはさまざまな成分が含まれており、その成分によって薬機法上の分類が異なります。一部の成分については効果が科学的に実証されていますが、中には十分な研究データが乏しいものもあります。そのため、専門家であっても成分ごとの効果や安全性を完全に把握するのは難しいのが現状です。
そのため、歯磨き粉を選ぶ際には、自分が特に気になっているお口の悩みや目的に合わせて選ぶことが最も適切です。たとえば、虫歯予防を重視する場合にはフッ素配合の歯磨き粉を、歯の着色が気になる場合にはホワイトニング効果が期待できる成分を含む歯磨き粉を選ぶと良いでしょう。
3,泡立ちすぎないか
歯磨き粉を選ぶ際には、泡立ち具合も重要なポイントの一つです。泡立ちが多い歯磨き粉は、使用時に爽快感を得られる反面、歯磨き時間が短くなる傾向があり、その結果、磨き残しが増えることがあります。また、泡立ちが多いと唾液の分泌が促進され、歯磨き粉の成分が唾液によって薄まってしまうため、十分な効果を得られにくくなる場合があります。
歯磨き粉の有効成分の効果をしっかりと発揮させるためには、泡立ちの少ない歯磨き粉を選ぶことをおすすめします。これにより、歯磨きの時間を適切に確保でき、成分が歯や歯茎にしっかり作用する効果が期待できます。自分に合った歯磨き粉を選ぶ際には、この点にも注目してみてください。
ヘイリオンジャパン
シュミテクトコンプリートワンEX
分類
医薬部外品
目的
知覚過敏
フッ素
1450ppm
タイプ
ぺースト
おすすめポイント
- ・知覚過敏と言ったらこれ!
- ・オールインワンで他の成分も必要なものがそれなりに揃っている
- ・市販で気軽に購入できるのもおすすめ!
商品説明
「歯がシミるのを防ぐ」「歯周病の予防「歯を白くする」「ムシ歯予防」「口臭の防止」「口中クリーン」「歯石沈着の予防」の7つの成分が一つに。
40代以上の方は知覚過敏でお困りではありませんか?
シュミテクトは、知覚過敏に効果的な硝酸カリウムが、歯の内部に入り歯の神経にバリアを形成します。毎日使うことで効果が出るため、継続することが大切!
オールインワンかつ市販のドラックストアなどでも購入できるので、知覚過敏で困ってるかたはとりあえず、これを買っておけば間違いなし。ただし、知覚過敏だけ困っているなら他の種類でも大丈夫なので、費用が気になる方は他の種類の方がコスパ良し!
ウェルテック
コンクールジェルコートF
分類
医薬部外品
目的
歯周病・虫歯
フッ素
1450ppm
タイプ
ぺースト
おすすめポイント
- ・クロルヘキシジン成分が歯周病に効果的!
- ・ジェルなので泡立ちが少ない!
- ・発泡剤・研磨材が無配合
商品説明
コンクールの歯磨き粉です。口腔内の細菌の定着率を減少させるのに有効的なクロルヘキシジンが配合されています。海外では、クロルヘキシジンの使用頻度は高く、効果が実証されているが、日本では低濃度のものしか販売できず、唯一販売されているのが、この商品のみ!
歯周病や虫歯を気にしている方は、断然この商品がおすすめです。発泡剤・研磨材が無配合なため、しっかりと歯磨きをすることができ、歯を傷つけません。
ただし、クロルヘキシジンを長期に継続的に使用すると、歯の変色が起きることがあるため注意が必要です。ホワイトニングを行なってたり、歯の色を気にする方はおすすめしません。
ライオン
ブリリアントモアw
分類
医薬部外品
目的
ホワイトニング
フッ素
950ppm
タイプ
ぺースト
おすすめポイント
- ・歯の着色(ステイン)を除去!
- ・ぺーストが強いので歯ブラシから垂れにくい
- ・研磨材が含有されているので、汚れが落ちやすい
商品説明
「歯を白くしたい!」「汚れを落としたい!」方にはこの商品がおすすめです。ピロリン酸ナトリウムとポリリン酸ナトリウムがダブル配合されており、無水ケイ酸(研磨材)があるため、表面についた汚れを落とします。
ただし、フッ素濃度が低く虫歯予防には不向きであり、普段使いするにはおすすめしません。
また、研磨材が配合されているので、力強く歯磨きをする方は、歯が削れたり、歯茎が下がってくるので注意が必要です。
佐藤製薬
アセス
分類
医薬品
目的
歯周病
フッ素
なし
タイプ
ぺースト
おすすめポイント
- ・歯茎からの出血や腫れに悩んでいるならこれ!
- ・歯周病によって出ている炎症を抑える効果!
- ・歯磨き粉では珍しい医薬品
商品説明
今現在、歯周病などで歯茎に炎症が起きているなら、医薬品のアセスがおすすめです!薬用成分に抗炎症作用のある成分が含まれており、一時的に出血や炎症を抑える効果があります。
日常的な歯磨きで使用するよりは、腫れ出血があって困っているときに使用するのがベスト!市販で手軽に購入できるのもポイントです!味が少ししょっぱいですが慣れたら平気です。
ただし、フッ素無配合なため虫歯予防には注意が必要なのと、歯茎の炎症を根本的に解決するには歯医者への相談が必要です。