歯周病治し方

この記事の公開日: 2025年1月16日

歯科医師|インプラント専門医

この記事の著者

こばやし歯科クリニック|歯学博士 小林孝誌

東京歯科大学大学院卒業し博士号を取得。インプラント専門医を持ち、地元の日立市で地域に貢献できるように研鑽を積む。口腔ケアやホワイトニングが好きで実体験を皆様にお届け。

40代以降になると、歯周病の罹患率は急激に上昇し、なんと80%以上の方が歯周病にかかると言われています。これは、加齢による免疫力の低下や、長年の生活習慣の影響が大きく関係しています。歯周病は「静かな病気」とも呼ばれ、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。そのため、気づいたときにはすでに進行しているケースが多く、放置すると歯を失うリスクも高まります。
ここでは、お家でできる歯周病のセルフケアから、歯科医院で行われる専門的な歯周病治療まで、歯周病を効果的に治療・予防する方法を分かりやすく解説します。歯周病の治し方で失敗したくない方や、正しいケア方法を知りたい方はぜひ参考にしてください。

この記事のまとめ

目次

歯周病とは何か?

歯周病とは、歯を支える歯肉や骨が歯周病菌の感染によって破壊される病気です。主な原因は「歯周病菌」と呼ばれる細菌で、ほとんどの人はお口の中に存在し、プラーク(歯垢)の中に他の細菌と共に暮らしています。歯周病菌は、毒素を放出し、それが歯肉に炎症を引き起こします。この炎症が進行すると、歯肉が腫れて出血しやすくなるほか、歯を支える骨が溶けてしまい、最終的には歯がぐらついて抜け落ちることがあります。

歯周病は初期段階では自覚症状が少なく、気づかないうちに進行するのが特徴です。また、進行すると治療が難しくなるため、早期発見と適切なケアが重要です。

歯周病になりやすい人

喫煙者糖尿病過剰なストレス肥満不規則な食生活遺伝的疾患加齢免疫力が低下した人不適切な歯磨き定期的な歯科健診をしていない人などはリスクが高いとされています。

歯周病が進行しやすい人の割合

歯周病の進行には個人差があり、進行しにくい人もいれば、悪化しやすい人もいます。特に悪化しやすい人は、少しの油断で歯周病が急速に進行してしまうことがあるため、注意が必要です。しかし、ほとんどの方は平均的な進行速度であるため、日頃の正しい歯磨きや定期的な歯科検診を心がけることで、歯周病の進行を抑えることができます。

歯周病の治し方

1,お家での歯周病ケア

歯周病を改善するためには、自宅での歯磨きが非常に重要な役割を果たします。歯周病は、歯の表面に付着した汚れ(歯垢)が原因で発症するため、この汚れをしっかりと落とすことができなければ、病気は進行してしまいます。特に、歯の並びが複雑だったり、被せ物や詰め物があったりする場合、汚れがたまりやすく、時間をかけて丁寧に磨いたつもりでも、実際には汚れが残っていることが多いのです。

効果的な歯磨きを行うための3つのポイントを押さえることで、歯周病からお口を守ることができます。まず、「自分の歯磨きの癖を知る」こと。磨き残しがちな部分を把握し、意識的にケアすることが大切です。次に、「歯ブラシ以外の補助道具を活用」すること。デンタルフロスや歯間ブラシを使うことで、歯ブラシだけでは届かない部分の汚れもきれいに取り除けます。最後に、「1日2回で効率的に」磨くこと。回数よりも、1回1回の質を高めることが重要です。

これらのポイントを実践することで、歯周病のリスクを大幅に減らし、健康なお口を維持することができるでしょう。日々の歯磨きを丁寧に行い、定期的な歯科検診も忘れずに受けることが、歯周病予防の鍵となります。

2,歯医者での歯周病治療

歯周病プロフェッショナルケア

歯医者での歯周病治療は、自宅での歯磨きでは取り除くことができない歯石(細菌の塊)を、専門的な器具や方法を使って徹底的に除去することが主な目的です。歯石は、プラーク(歯垢)が石灰化して硬くなったもので、歯ブラシでは除去できないため、歯周病菌の温床となります。歯科医院では、以下のような専門的なアプローチを行います。

  1. スケーリング:(歯茎の上にある歯石除去)
    専用の器具(スケーラー)を使って、歯の表面や歯周ポケット内に付着した歯石を取り除きます。これにより、歯周病菌の繁殖を抑えます。

  2. ルートプレーニングや歯周外科:(歯茎の中の歯石除去)
    歯根の表面を滑らかにし、汚れや細菌が再付着しにくい状態にします。これにより、歯ぐきの炎症が軽減され、歯周組織の回復を促します。

  3. 歯周ポケットのクリーニング:(専用の消毒やエルビウムレーザー)
    歯周ポケット内の洗浄・消毒を専用の消毒液やエルビウムレーザーで行い、歯ぐきの健康を取り戻します。

  4. 歯周組織再生療法:(歯茎や骨の再生)
    歯周病によって失われた歯茎や骨を、薬などを使って再生させ、健康の状態を取り戻すことができます。

歯科医院での治療は、自宅でのケアでは対応できない部分を補完し、歯周病の進行を食い止めるために欠かせません。歯周病をしっかりと治すためには、自宅でのセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアを組み合わせることが重要です。

3,歯周病の定期検診

歯周病は、一度発症すると再発しやすく、セルフケアだけでは歯石やプラークを完全に除去できず、時間とともに蓄積してしまいます。その結果、歯や歯茎に炎症が生じ、症状が悪化する恐れがあります。そこで、定期的な歯科検診が重要となります。一般的には1年に2~4回程度の通院で、専門的なクリーニングや早期治療を受けることで、将来にわたり自分の歯を守ることが可能です。定期検診は多少の手間かもしれませんが、健康な口腔環境を維持するための大切な投資です。